知的生産の技術

知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)

元祖ライフハック本!1969年発行なんで40年前ですよ。
新書なのでビジネス書とか普段読む人なら1時間もかからず読める。
時代とともに情報を扱うツールは当然変化していて、
今この本が役に立つか疑問を持ちつつ読んでみたのだが、
結論としてはイエス。むしろ本質がみえやすい。
この本では手帳、カード、切り抜き、ファイリング、読書法、手紙、日記、原稿
こういったツールごとに章が構成されているので
今の時代のツール、ブログとかメールとかに置き換えて読めば
おのずと本質がみえると思われる。
中には「ペンからタイプライターへ」とか
さすがに今は参考にならない章もあるけど。


いくつか引用メモ。

P54
カードについてよくある誤解は、
カードは記憶のための道具だ、というかんがえである。
頭のなかに記憶するのなら、カードにかく必要はない。
カードは、わすれるためにつけるものである。カードにかいたら、
安心してわすれていいのである。

こんな感じで世間では誤解があるんじゃないの、といったうえで
方法論を書いた例が多い。

P95
一般に、この本でとりあつかっているような知的生産の技術の話全体が、
能率の問題としてうけとられやすいのである。
しかしこういう話は能率とは無関係ではないにしても、
すこしべつのことかもしれない。
これはむしろ。精神衛生の問題なのだ。
整理や事務のシステムをととのえるのは、「時間」がほしいからではなく、
生活の「秩序としずけさ」がほしいからである。

こういう話もしてくれるので、そこらのハウツー本のように
無味乾燥な感じがしない。

P213
国語と国文学は、まったくべつの教科とかんがえては、どうだろうか。
国文学の授業は、国文学専攻の人がうけもてばいい。
しかし、国語の問題、ひいては文章の問題は、むしろ、
情報工学の問題としてかんがえたほうがいいのではないか。

文章の書き方とか技術的な教育が足りないとの指摘。
そこを変えれば本屋にハウツー本は並ばない。


新書の手軽さを考えると、これは素晴らしい本。
国語の教科書にしていいんじゃないですか。
いわゆる世にはびこるライフハック本とやらは
この本の劣化コピーといっていい。